センチュリー21・ジャパン主催「21フォーラム(2026年秋の戦略会議)」に登壇いたしました

2026年10月15日、株式会社センチュリー21・ジャパン主催の「21フォーラム(2026年秋の戦略会議)」にて、「勘は捨てるな!AI時代に中間管理職が伸びる組織の作り方」をテーマに、弊社代表取締役の木村圭志が登壇いたしました。

本講演では、生成AIやデータを活用しながら、経営者やベテラン社員が経験の中で培ってきた「勘」や「暗黙知」を言葉とデータに変え、次の世代へ継承する組織づくりについてお伝えしました。

■主催

株式会社センチュリー21・ジャパン

■イベント

21フォーラム
2026年秋の戦略会議

■タイトル

勘は捨てるな!
AI時代に中間管理職が伸びる組織の作り方

■講師

株式会社流導 代表取締役 木村 圭志

■内容

AIは、言葉や数値として入力された大量の情報を短時間で整理し、分析することを得意としています。

一方、経営者や営業担当者が現場で感じる違和感、相手の話し方から察する温度感、長年の経験から無意識に行っている判断などは、そのままではAIに伝わりません。

講演では、AIに仕事を任せるほど、人が持つ「勘」を不要なものとして扱うのではなく、言葉とデータに変えて組織の資産にする必要があるとお伝えしました。

同じ数字を見ても、同じ判断になるとは限らない

講演では、ある不動産会社の役員から伺った事例をご紹介しました。

その会社では、グループ各社の数字を集約し、社内の状況を可視化できる仕組みを整えていました。しかし、役員と部下が同じ数字を見ても、同じ判断にはなりませんでした。

どこまで先を見ているのか、何をリスクと捉えるのか、「会社のため」という言葉をどのような意味で使っているのかが、それぞれ異なっていたためです。

数字を共有するだけでは、判断の背景までは共有できません。

経営者や管理職が、数字を見た瞬間に何を感じ、何を考え、なぜその選択をしたのか。その過程まで言葉にすることで、初めて次の世代が判断基準を学べるようになります。

AIが扱えるのは、入力された情報まで

AIは、言語化された情報の処理、大量のデータ分析、繰り返し作業を得意としています。

一方、「売れる営業が返すメールを作って」と依頼しても、その会社にとっての「売れる営業」が何を意味するのかまでは分かりません。

売上金額が高い営業なのか、お客様から紹介される営業なのか、クレームを発生させない営業なのかによって、求める回答は変わります。

また、ベテラン営業が初対面のお客様に対して抱く「このお客様には今すぐ売らない方がよい」「数字上は条件がよくても、慎重に対応した方がよい」という感覚も、入力しなければAIには伝わりません。

AIを使いこなすためにも、自社が何を大切にし、どのような状態を望んでいないのかを言葉にする必要があります。

「勘」は、感覚・感情・思考から生まれる

流導では、現場で働く人の勘を捉え直す際に、次の3つに分けて考えています。

・その場で身体的に何を感じたのかという「感覚」
・その感覚によって、どのような「感情」が動いたのか
・その後、頭の中で何を考えたのかという「思考」

例えば、お客様へ提案した際、「興味は示しているが、完全には納得していない」と感じることがあります。

その背景には、表情、返事の速さ、声の張り、視線など、営業担当者が無意識に受け取っている情報があります。

そこで「話が一方通行になっている気がする」と感じ、「希望どおりの提案をするだけでは、お客様の本当の悩みには届いていないのではないか」と考える。その結果、あえて相手のペースに合わせ、希望の裏側にある悩みを聞き出すことがあります。

この一連の過程を言葉にできれば、単なる「営業センス」ではなく、後輩へ伝えられる知識になります。

「自分でなければ取れなかった契約」を振り返る

講演の後半では、参加者の皆様に「自分でなければ取れなかった契約」を振り返っていただくワークを実施しました。

契約時に何を感じたのか、どのような感情が動いたのか、何を考えて行動を選んだのか、そして新人へ何を伝えるのかを、それぞれ言葉にしていただきました。

参加者からは、相続案件の相談で質問を重ねたことにより、お客様が複数の不動産を所有していると察知した経験や、お客様の反応に納得感がないことを感じ、あえて相手のペースに合わせることで本当の悩みを引き出した経験などが共有されました。

同じ不動産営業に携わっていても、感じ取るポイントや、そこから導き出す判断は一人ひとり異なります。

その違いは修正すべきものではなく、会社が持つ営業資産として残せるものです。

売れる人が「やっていること」だけを真似しない

営業分析では、成果を上げている人の行動回数や商談数など、目に見える部分に注目しがちです。

例えば、売れている営業担当者が2週間で10回お客様へ電話していたとしても、新人に「2週間で10回電話する」と指示するだけでは、同じ成果にはつながりません。

売れている人は、電話するタイミングだけでなく、「今は電話しない方がよい」と判断するタイミングも持っています。

どの話題を出さなかったのか、どこで説明を止めたのか、何を聞かないと決めたのかなど、「やらなかったこと」にも営業の勘が表れます。

成果を再現するためには、行動量だけでなく、選択しなかった行動まで振り返る必要があります。

厳しいAIロープレを設計する理由

講演では、流導が提供する不動産売買仲介専用の「AIロープレ道場」を例に、人が教える部分とAIへ任せる部分の分け方もご紹介しました。

AIロープレ道場は、簡単にアポイントが取れるように設計されたものではありません。実際のお客様と同じように、査定価格だけを知りたいと言われたり、他社の方が高い査定だったと比較されたり、会話が思いどおりに進まなかったりします。

これは、ロープレでは簡単にアポイントが取れたのに、実際のお客様へ対応すると断られるという状態を避けるためです。

「アポイントを取れるAI」を作るのではなく、「現実の厳しさに対応できる営業を育てるAI」を作る。その設計には、流導が不動産営業や人材育成の現場で蓄積してきた知見が反映されています。

AIの仕組みだけではなく、何を大切にして教育するのかという人の判断が、サービスの違いを生み出します。

ロープレの文字起こしから、営業の違いを分析する

AIロープレでは、営業担当者とAIの会話、フィードバック、評価結果などをデータとして残せます。

売れている人と、成果が伸び悩んでいる人の会話データをAIに分析させれば、質問の順番、説明の長さ、お客様の反応に対する返答など、両者の違いを見つけることができます。

さらに、「売れている人が何をしているのか」だけでなく、「何を言わなかったのか」「どこで会話を止めたのか」といった差分を確認することで、本人も説明できていなかった営業の勘を言葉にできる可能性があります。

若手が辞める理由は、会社ごとに異なる

講演では、若手社員の離職に悩んでいた地方の不動産会社の事例も紹介しました。

同社が若手社員へ確認したところ、離職につながる要因として、代金計算や資料作成などの入力作業が多いことに加え、「いつになれば自分が売れるようになるのか分からない」という不安が見つかりました。

そこで、不動産業界歴約30年の経営者がAIと対話しながら、自社が大切にしていることや、若手社員にどのように成長してほしいのかを言語化しました。

その結果、事務作業の負担を減らす仕組みと、半年後の成約を目指して段階的に学ぶ教育ロードマップを作成。さらに、アプローチブックや電話対応を支援するWebアプリなど、約10個のツールを自ら作りました。

重要なのは、他社の教育制度をそのまま導入したことではありません。自社で若手が辞める理由を確認し、自社が目指す教育を言葉にしたうえで、AIを実現手段として利用したことです。

すでに入力している情報を、経営データへ変える

新しいデータ入力を増やすだけでは、現場の負担が大きくなります。

そこで講演では、成約台帳など、社内ですでに入力している情報を活用する方法をお伝えしました。

成約台帳には、営業担当者、物件価格、仲介手数料、物件所在地など、多くの情報が記録されています。そこへ反響日や反響媒体などの情報を加えることで、反響から成約までの期間、媒体ごとの成約状況、営業担当者ごとの違いなどを可視化できます。

講演では、センチュリー21の加盟店向け業務支援システム「21ポータル」と流導の成約台帳との連携についてもご紹介しました。

売買取引報告と成約台帳への入力を連携させ、二重入力の手間を減らしながら、日々の業務で蓄積される情報を経営や人材育成に活用する考え方をお伝えしました。

勘とデータを循環させる

経験から生まれた暗黙知を言葉にすると、他の人が学べる知識になります。

その知識をもとに社員が行動すると、新たな経験や感覚が生まれます。それを再び言葉とデータに変え、次の行動へつなげることで、組織として学習を続けられます。

AI時代に必要なのは、勘を捨てて数字だけで判断することでも、経験だけを頼りに属人的な経営を続けることでもありません。

人が現場で感じたことを言葉にし、すでに社内にあるデータと組み合わせ、AIで整理・分析することが重要です。

■おわりに

社長やベテラン社員の勘が、本人の中だけに残っている状態では、退職や事業承継によって失われる可能性があります。

一方、無理に一つの正解へそろえてしまうと、それぞれの社員が持つ経験や判断の違いも消えてしまいます。

今回の講演では、一人ひとりが持つ勘を感覚・感情・思考に分けて言葉にし、営業データと組み合わせながら、組織の資産として残す方法をお伝えしました。

まずは、自分だから取れた契約を一つ振り返り、そのとき何を感じ、何を考え、何をしたのか、そして何をしなかったのかを書き出すことから始められます。

今後も株式会社流導では、AIとデータを活用しながら、人や会社が培ってきた経験と言葉を失わず、誰かが辞めても揺らがない組織づくりを支援してまいります。