石川県宅建協会様主催「不動産会社のための生成AI入門・差別化戦略とAIO対策セミナー」に登壇いたしました

2026年9月25日、公益社団法人石川県宅地建物取引業協会様が開催した「令和8年度 第二回業務研修会」にて、弊社取締役・行政書士の德留さやかが登壇いたしました。

本研修では、「不動産会社のための生成AI入門セミナー」と「差別化戦略とAIO対策セミナー」の二部構成で、生成AIを安全に活用するための基礎と、地域の不動産会社が自社の経験を発信し、検索やAIを通じてお客様から選ばれるための具体的な方法を解説しました。

■主催

公益社団法人石川県宅地建物取引業協会

■研修会

令和8年度 第二回業務研修会

■タイトル

不動産会社のための生成AI入門セミナー
差別化戦略とAIO対策セミナー

■講師

株式会社流導 取締役/行政書士 德留 さやか

■内容

前半では、物件紹介文の作成、自社ホームページの分析、画像加工など、不動産実務における生成AIの活用方法を実演しました。

後半では、単にAIで文章を量産するのではなく、不動産会社が現場で得た一次情報や顧客対応の経験を言語化し、E-E-A-Tを意識した情報発信につなげる方法を解説しました。

差別化とは、条件を増やすことではない

仲介手数料の割引や特典など、他社が真似できる条件による差別化は、同じ施策を行う会社が増えると、再び比較される状態に戻ります。

小規模な不動産会社が資本力のある会社と同じ条件で競争を続けることは、簡単ではありません。

講演では、差別化を「条件やスペックの競争ではなく、比較されない価値を持つこと」と整理しました。

その会社でなければ得られない地域情報や、営業担当者が実際の取引で経験したこと、お客様の悩みに向き合った過程は、簡単に模倣できません。

生成AIが一般的な情報を短時間で整理できる時代だからこそ、現場にいる人しか持っていない具体的な情報が、不動産会社の差別化につながります。

E-E-A-Tにつながるのは、現場で得た一次情報

Googleは、有用で信頼性の高い情報を考える際の要素として、経験、専門性、権威性、信頼性を意味する「E-E-A-T」を示しています。

なかでも、地域の不動産会社が発信しやすいのが、実際の経験をもとにした一次情報です。

例えば、「今日のランチはおいしかった」という記事だけでは、不動産を探している人にとって有益な地域情報にはなりにくいでしょう。

一方で、「お客様をご案内した金沢市内の○○エリアで、地域の人が利用している飲食店を見つけた」「このエリアには、インターネット上であまり紹介されていないパン店があり、実際に歩くと物件から約5分だった」と書けば、現地へ行った人にしか作れない情報になります。

こうした発信を積み重ねることで、地域をよく知る不動産会社であることを、お客様にも検索サービスにも具体的に伝えられます。

德留自身も、行政書士法人を約13年間経営し、司法書士法人や土地家屋調査士法人と連携しながら、相続に伴って発生する空き家や土地の相談に対応してきました。

また、現在は全国各地の宅建協会で生成AIや不動産会社の情報発信について講演しています。今回の研修では、こうした実務経験と、各地域の不動産会社から寄せられた相談をもとに解説しました。

不動産と関係のないブログを毎日更新しても、専門性は伝わらない

講演では、過去にSEO対策として行われていた施策の見直しについてもお話ししました。

検索順位を操作することだけを目的とした不自然なリンクや、地域名と「不動産売却」などのキーワードを文脈に関係なく繰り返す方法は、現在の検索環境には適していません。

また、毎日更新すること自体を目的に、不動産とは関係のない日記を掲載し続けても、不動産会社としての経験や専門性は十分に伝わりません。

日常的な内容を発信してはいけないわけではありません。重要なのは、読者にとってどのような価値があるかです。

地域の店舗を紹介する場合も、単なる感想ではなく、周辺の住環境、物件からの距離、利用する時間帯、子育て世帯にとっての利便性など、不動産会社だからこそ伝えられる情報を加えることで、役立つコンテンツになります。

一つの段落だけで意味が伝わるように書く

AIに情報を正しく理解してもらうためには、文章の内容だけでなく、情報の構造も重要です。

例えば、「上記物件は駅から徒歩5分で、この距離の近さが最大の魅力です」と書かれていても、その段落だけでは、どの物件が、どの駅から徒歩5分なのか分かりません。

そこで、次のように固有名詞や数字を含め、一つの段落だけでも内容が分かる文章にします。

「○○マンションは金沢駅から徒歩5分、築10年の物件です。駅に近い一方で、周辺には落ち着いた住宅街が広がっています」

講演では、結論を先に置き、具体的な地域名、物件名、数字、実際の経験を含めることで、人にもAIにも内容が伝わりやすくなると解説しました。

長い文章を書くことよりも、「誰の、どのような疑問に答える段落なのか」を明確にすることが大切です。

「金沢で家を探すすべての人」では、選ばれる理由を作れない

自社のホームページを見てほしい相手として、「金沢で不動産を探している人全員」を設定しても、多くの不動産会社と対象が重なります。

そこで必要になるのが、自社が得意とするお客様像を具体的にすることです。

例えば、「転勤で石川県へ引っ越してくる30代の子育て世帯」「学区だけでなく通学路の安全性まで確認したい家族」「夜間の帰宅が多く、街灯や人通りを重視する女性」といったところまで具体化します。

対象となるお客様が明確になれば、その人が検索する言葉や、物件を決める際に不安を感じる点も見えやすくなります。

すべてのお客様に向けた一般的な情報ではなく、自社が実際に対応してきたお客様の疑問に一つずつ答えることが、選ばれる情報発信につながります。

通学路を一緒に歩いた経験を、発信の材料にする

講演では、転勤で石川県へ引っ越してくる子育て世帯を想定し、営業担当者の経験から情報発信のテーマを作る方法を紹介しました。

例えば、あるお客様が、物件の希望条件と学区のどちらを優先するか悩んでいたとします。

営業担当者がお客様と一緒に二つの候補物件から学校までの通学路を歩いたところ、評判のよい学区にある物件は、交通量が多く、歩道が狭いことが分かりました。

一方、もう一つの物件からの通学路には公園があり、地域の見守り活動も行われていました。その経験が、最終的にお客様が物件を選ぶ際の判断材料になったとすれば、そこには次のような発信テーマが生まれます。

・学区だけでは分からない通学路の安全性
・子どもと実際に歩いて確認したいポイント
・転勤前に確認しておきたい地域の見守り環境

この情報は、物件概要や自治体のホームページをまとめただけでは作れません。お客様と現地を歩き、一緒に悩んだ営業担当者だからこそ発信できる内容です。

ほかにも、「夜道の明るさを重視する人に向けたエリア情報」「引っ越し直後に利用できる病院や保育園の一覧」など、実際の相談からさまざまな発信テーマを作れます。

営業担当者ごとの経験の違いを消さない

同じ会社で働いていても、営業担当者が経験してきた取引や、お客様から相談された内容は異なります。

会社として発信のトーンや対象顧客をそろえることは必要ですが、すべての営業担当者が同じ内容を発信すると、会社が持つ情報は一種類に見えてしまいます。

講演では、担当者ごとの経験の違いを消すのではなく、同じお客様像に対して、異なる角度から情報を届けることを提案しました。

学区について相談を受けた担当者、夜間の住環境を確認した担当者、子育て施設を調べた担当者。それぞれの経験を持ち寄ることで、一社の中に複数の具体的な知見が蓄積されます。

営業担当者の間にある経験や視点の違いは、情報発信においては会社の資産になります。

AIは、暗黙知を文章に変えるために使う

長年不動産業に携わっている人ほど、多くのことを感覚的に判断しています。

現地へ行ったときに確認する場所、お客様の言葉から読み取っている不安、物件を勧める際に無意識に見ている条件など、その判断には長年の経験が反映されています。

しかし、本人にとって当たり前になっているため、それが自社独自の情報であることに気づいていないケースも少なくありません。

講演では、こうした言葉になっていない経験である「暗黙知」を、社内やお客様へ伝えられる「形式知」に変えるために、生成AIを活用する方法をお伝えしました。

AIに情報をゼロから作らせるのではなく、人が経験という素材を用意し、AIに整理や文章化を手伝わせます。最後は担当者自身の言葉に直し、事実に誤りがないかを確認してから発信します。

■おわりに

AIO対策とは、AIに評価されるためだけの文章を大量に作ることではありません。

お客様と向き合った経験、地域を歩いて得た情報、取引の中で行った工夫を記録し、必要としている人へ伝わる形で公開することです。

生成AIは、こうした情報を整理し、文章にする作業を支援できます。しかし、文章のもとになる経験や、お客様に対する判断までAIが代わることはできません。

今回の講演では、不動産会社がすでに持っている経験や知識を見つけ、それを自社の差別化と情報発信につなげる方法を、具体的な事例とともにお伝えしました。

今後も株式会社流導では、不動産会社が生成AIを安全に活用し、それぞれの会社が持つ経験や専門性をお客様へ届けられるよう、実務に即した支援を行ってまいります。