「第10回 JAPAN BUILD OSAKA」にて、小さな不動産会社が地域で生き残るための戦略について講演いたしました

2026年8月27日、インテックス大阪で開催された「第10回 JAPAN BUILD OSAKA-建築・土木・不動産の先端技術展-」にて、「小さな不動産会社は、どう生き残るのか。地域密着・AI活用・独自戦略のリアル」をテーマに、弊社代表取締役の木村圭志がモデレーターとして登壇いたしました。

本講演では、地域密着型の不動産会社を継承する三代目経営者と、未経験から一人で不動産会社を立ち上げた経営者をゲストに迎え、大手不動産会社と同じ方法で競わず、自社ならではの強みを生かして選ばれるための取り組みについてお話を伺いました。

■主催

RX Japan合同会社

■展示会

第10回 JAPAN BUILD OSAKA
-建築・土木・不動産の先端技術展-

■タイトル

Labo-7:小さな不動産会社は、どう生き残るのか。
地域密着・AI活用・独自戦略のリアル

■登壇者

森之宮不動産株式会社 統括マネージャー 西本 仁尚 氏
まり不動産株式会社 代表取締役 髙橋 茉莉子 氏
株式会社流導 代表取締役 木村 圭志(モデレーター)

■内容

人員や広告予算が限られる小さな不動産会社が、大手不動産会社と同じ方法で競争しても、価格や情報量だけで優位に立つことは容易ではありません。

一方で、地域とのつながり、お客様一人ひとりと向き合う時間、経営者自身の経験や価値観は、小さな会社だからこそ生かせる強みです。

講演では、異なる経歴を持つ二人の実践を通じて、紹介営業、地域活動、士業との連携、AIや外注の活用など、小さな不動産会社が独自の立ち位置を築く方法を考えました。

地域活動の積み重ねが紹介につながる

森之宮不動産株式会社の西本仁尚氏は、祖父が創業した不動産会社を継承した三代目経営者です。

会社を引き継いだ当時は経営状態が厳しく、不良債権や保有資産の整理に約20年を要した経験についてお話しいただきました。その後、売買や仲介、マンション販売、広告宣伝などの実務を重ね、現在は地域に根差した事業を展開されています。

西本氏の案件は、寺院、地域の社会福祉協議会、宅建協会、祭りや地域行事など、日頃の活動を通じた紹介が中心です。

地域では、よい評判だけでなく、好ましくない対応もすぐに伝わります。そのため、短期的な売上を優先せず、「無理に売らない、売らせない、買わせない」ことを営業方針とし、お客様と同じ目線で話を聞くことを大切にされています。

地域との信頼関係は、すぐに成果が出る広告施策ではありません。しかし、継続的な活動によって「困ったときに相談される会社」になることが、小さな不動産会社の長期的な強みになります。

顧客ゼロから1年間で約560人とつながる

まり不動産株式会社の髙橋茉莉子氏は、不動産仲介未経験の状態から、2024年12月に会社を設立しました。三人のお子様を育てながら、ご主人が東京へ単身赴任する環境で、ほぼ一人で会社を運営されています。

開業時には顧客も人脈もなかったため、髙橋氏は士業や経営者が集まる場へ足を運び、1年間で約560人と面会しました。

さらに、出会った方々へ毎月ニュースレターを送付。表面には自身の考えや日常、もう一方には仕事の実績を掲載し、「何を大切にしている人なのか」「どのような相談に対応できるのか」が伝わる発信を続けています。

その結果、士業の方のご家族が所有する不動産の相談や、事務所・住居探し、知人のご両親の不動産売買など、信頼関係を起点とした紹介につながるようになりました。

高い査定額ではなく、お客様のゴールを確認する

髙橋氏が大切にしているのは、媒介契約を得るために、根拠のない高い査定額を提示しないことです。

講演では、大手不動産会社へ売却を依頼したものの、約3か月間動きがなかった70代女性の事例をご紹介いただきました。

髙橋氏は、あらためて物件を査定するだけでなく、売主がどのようなゴールを望んでいるのかを丁寧に確認し、物件写真も撮り直しました。その結果、販売活動を見直してから約3週間で購入の申し込みにつながりました。

会社の規模や知名度ではなく、お客様が本当に実現したいことを聞き取り、必要な行動を着実に進めることが、小さな会社の価値になる事例です。

AIは自分の考えを消さないために使う

講演では、少人数で業務を行うためのAIや外注の活用についても伺いました。

髙橋氏は、ニュースレターの文章を最初からAIに作らせるのではなく、まず自分で考えを書き、その後、Geminiを使って誤字や文章量を整えています。AIに任せるのは編集作業であり、自分の思いや言葉が消えないようにすることを重視されています。

また、馴染みのない地域の査定に必要な人口動態や周辺情報の調査にもAIを補助的に利用する一方、契約書類の作成支援や間取り図の作成など、専門性が求められる業務は外部の専門家へ依頼しています。

西本氏も、AIを自分が困っていることの整理や、経営・財務に関する確認に活用しています。

すべてを自社で抱えたり、反対にAIへ任せきったりするのではなく、自分が担う仕事、AIへ任せる仕事、専門家へ依頼する仕事を見極めることが、限られた人数で事業を続けるうえで重要です。

■おわりに

本講演では、小さな不動産会社が生き残るために必要なのは、大手不動産会社をそのまま真似ることではなく、自社が持つ地域との関係、行動量、専門家との連携、お客様への向き合い方を明確にすることであるとお伝えしました。

地域活動から紹介を積み重ねる方法と、顧客ゼロの状態から自ら人脈を築く方法は異なります。しかし、どちらにも共通しているのは、短期的な成果だけを求めず、相手との信頼関係を継続して育てていることです。

今後も株式会社流導では、不動産会社が自社に合った戦い方を見つけ、AIや外部人材を活用しながら、地域で選ばれ続けるための情報を発信してまいります。