
2026年8月26日、インテックス大阪で開催された「第10回 JAPAN BUILD OSAKA-建築・土木・不動産の先端技術展-」にて、「不動産AI活用の落とし穴!生成物の権利と外注リスク対策」をテーマに、弊社取締役・行政書士の德留さやかが登壇いたしました。
本講演では、しんせい総合法律事務所の弁護士・髙橋景氏とともに、不動産会社が生成AIを業務で利用する際に注意すべき著作権や外注成果物のリスクと、実務で講じるべき対策について解説しました。
■主催
RX Japan合同会社
■展示会
第10回 JAPAN BUILD OSAKA
-建築・土木・不動産の先端技術展-
■タイトル
Labo2:不動産AI活用の落とし穴!生成物の権利と外注リスク対策
■登壇者
しんせい総合法律事務所 弁護士 髙橋 景 氏
株式会社流導 取締役/行政書士 德留 さやか
■内容
生成AIを使えば、広告文章や画像、キャラクター、デザインなどを短時間で作成できます。一方、AIで作ったものだから自由に使えるとは限らず、既存の著作物との類似や、外注先による生成AIの利用が問題になる場合があります。
本講演では、生成AIの利用を過度に恐れるのではなく、リスクを把握して管理することで、業務上の「武器」として活用するための考え方をお伝えしました。
著作権侵害を判断する「類似性」と「依拠性」
髙橋弁護士からは、著作権侵害を考えるうえで基本となる「類似性」と「依拠性」について解説いただきました。
類似性とは、制作物が既存の著作物と似ているかという観点です。依拠性とは、既存の著作物をもとに制作したかという観点を指します。
生成AIの場合、利用者自身が既存作品を知らなくても、AIがその作品を学習しており、結果としてよく似た生成物が出力される可能性があります。
そのため、「元の作品を知らなかった」「AIが自動的に作った」という理由だけで、著作権上の問題がなくなるとは限りません。生成物が既存の作品と似ていないかを確認し、制作過程を記録しておくことが重要であると解説されました。
外注先が作った成果物でも、発注者のリスクはなくならない
不動産会社が使用する広告、チラシ、イラスト、キャラクターなどは、外部の制作会社やデザイナーへ依頼することがあります。
しかし、外注先が生成AIを使用して著作権を侵害する成果物を制作した場合でも、「外注先が作ったから自社には関係がない」とは言い切れません。
完成した制作物を広告などで利用する発注者側にも、使用の差止めや損害賠償などの問題が生じる可能性があります。
外注先へ口頭で「オリジナルですか」と確認し、「オリジナルです」という回答を得るだけでは、後から問題が起きた際に十分な証拠にならない場合があります。
発注者側でも、どこかで見たことのあるデザインではないかを確認し、必要に応じて画像検索を行うなど、確認した事実とその履歴を残すことが大切です。
外注契約に盛り込むべき3つのポイント
講演では、生成AIを使った制作を外注する際、業務委託契約書などに盛り込むべき内容として、次の3点をご紹介しました。
1.第三者の著作権を侵害していないことの表明・保証
2.生成AIを利用した場合の申告、または生成AI利用の禁止
3.権利侵害が発生した場合の対応・補償に関する取り決め
特に、生成AIの利用を認める場合には、使用したAIツールや入力した指示文、修正を含む生成過程を開示してもらい、成果物と一緒に記録を受け取ることが重要です。
契約書に条項を設ければ、すべてのリスクがなくなるわけではありません。しかし、誰がどのような方法で制作し、どこまで確認したのかを明確にすることで、トラブルの予防や、問題が発生した際の対応につなげられます。
「少し似ている」と感じたら立ち止まる
生成された画像やデザインを見て、「何かに似ている」「どこかで見たことがある」と感じることがあります。
その違和感に気づきながら確認せずに利用を続けると、知らなかった場合よりも大きな問題につながる可能性があります。
講演では、生成物に違和感を持った段階で一度使用を止め、画像検索や制作過程の確認を行うことをお伝えしました。
生成AIを安全に利用するためには、次の4点が重要です。
・生成された結果を確認する
・指示文や生成過程の記録を残す
・似ていると感じたら使用を止めて調べる
・外注時の取り決めを契約書に残す
AIの提案に法的な正しさが保証されているわけではない
質疑応答では、「AIが提案する知識や分析手法が、法律に違反する可能性はあるのか」という質問も寄せられました。
生成AIは、画像や文章だけでなく、事業の進め方や契約スキームなどを提案することがあります。しかし、AIから提示されたという理由だけで、その内容の適法性が保証されるわけではありません。
AIからの提案は、優秀な社員から出された一つの案と同じように受け止め、実行する前に人が調査し、必要に応じて専門家へ確認することが必要です。
■おわりに
生成AIの利用にはリスクがありますが、リスクがあることを理由に、活用そのものを諦める必要はありません。
重要なのは、生成物を確認する体制を整え、制作過程を記録し、外注時の責任範囲を契約書で明確にすることです。
今回の講演では、弁護士と行政書士それぞれの視点から、不動産会社が生成AIを安全に活用するための具体的な対策をお伝えしました。
今後も株式会社流導では、不動産会社が生成AIを「不安」から「武器」へ変えられるよう、実務に即した活用方法とリスク対策を発信してまいります。

