
2026年8月20日、公益社団法人 佐賀県宅地建物取引業協会杵藤支部様主催の研修会にて、「不動産会社のための生成AI入門セミナー~今からでも間に合う、不動産AI活用の第一歩~」をテーマに、弊社取締役の徳留さやかが登壇いたしました。
■主催
公益社団法人 佐賀県宅地建物取引業協会 杵藤支部
■タイトル
不動産会社のための生成AI入門セミナー
~今からでも間に合う、不動産AI活用の第一歩~
■内容
本セミナーでは、生成AIを安全かつ実践的に業務へ取り入れるための考え方を、不動産業務に即した事例や実演を交えて解説しました。
会場で生成AIの利用状況を伺ったところ、使ったことのある方は多かった一方、仕事で活用している方はそれより少ない状況でした。
そこで今回は、生成AIの基本的な使い方に加え、AIで情報収集してから来店するお客様への対応、会社の強みを伝える表現の作成、物件画像の加工、経営者が持つノウハウの承継などを取り上げました。
AIで調べてから来店するお客様にどう対応するか
現在は、専任媒介と一般媒介の違いや、訪問査定を受ける必要性などを、生成AIで調べてから不動産会社へ相談するお客様もいます。
しかし、AIの回答には誤りが含まれることがあり、質問の仕方によっては、お客様にとって都合のよい情報だけが示される場合もあります。
講演では、不動産会社側も、お客様がAIからどのような説明を受けているのかを把握し、あらかじめ回答を準備することが重要だとお伝えしました。
例えば、「なぜ机上査定だけでなく訪問査定が必要なのか」「専任媒介と囲い込みはなぜ同じではないのか」などを、専門用語だけに頼らず説明できるようにしておく必要があります。
AIで調べられる一般的な情報に加えて、地域の取引事情や実際の経験に基づいた判断を提供することが、不動産会社の役割になります。
156年の歴史を“今の言葉”で伝える
講演では、長い歴史を持つ会社から寄せられた相談を例に、企業の強みを表現する方法を生成AIで考える実演を行いました。
「156年の歴史と現在の取り組みを、若い世代にも伝わる表現にしたい」という相談に対し、会社のホームページを参考にしながら、異なる切り口の表現を5案作成しました。
その結果、「変わり続けたから156年続いた」「156年間アップデートを続けてきた」「明治創業のベンチャー企業」といった、歴史の長さを古さではなく、変化を続けてきた実績として伝える案が示されました。
生成AIは、正解を決めるものではありませんが、一つのテーマを複数の視点から捉え、短時間でアイデアを広げる作業を得意としています。
会社の歴史、地域との関係、現在の経営体制、伝えたい相手などの背景を具体的に入力することで、自社らしい発信の叩き台を作ることができます。
画像加工では、AIが何を認識したかを見極める
物件写真から残置物を消す実演では、室内にあった箱をAIが棚の一部と認識し、棚を残した画像と消した画像の2種類を生成する場面がありました。
人は写真を見て、棚板の上に箱が積まれていると理解できます。しかし、AIが同じように物の種類や構造を認識しているとは限りません。
そのため、消したい物が残った場合に「もう一度消してください」と繰り返すだけでは、希望どおりに修正されないことがあります。
講演では、「床面にある緑色のじゅうたんのような物を削除し、その下のフローリングを表示してください」など、位置、色、形状を具体的に伝える方法をご紹介しました。
AIが作成した画像は必ず元の写真と比較し、建物の構造や設備まで変わっていないかを人が確認することが必要です。また、広告へ掲載する際には、「AIによる加工画像」「イメージ画像」などの表示を加え、実際の物件写真と誤認されないようにしなければなりません。
経営者の頭の中にある経験を次世代へ残す
生成AIを人材教育へ活用するためには、日々の営業活動や顧客対応を記録として残すことが重要です。
特に、地域で長く事業を続けてきた不動産会社では、物件の見極め方やお客様への説明方法が、経営者個人の経験に蓄積されていることがあります。
その経験は、背中を見せるだけでは、後継者や若手社員へ十分に伝わらない可能性があります。
商談、電話対応、メール、営業ロールプレイなどを文字データとして残せば、AIで内容を整理し、新人向けの教材やトーク例に変えることができます。
AIに基礎知識の反復学習を任せ、そのうえで先輩社員との同行や実際の接客を経験することで、人とAIそれぞれの強みを生かした教育が可能になります。
■おわりに
本セミナーでは、生成AIを使うこと自体を目的にするのではなく、「どのようなお客様から、どのように選ばれたいか」を考え、その目的に合わせて活用方法を決めることの重要性をお伝えしました。
また、参加者の皆様には、研修で学んだ内容から「明日試すこと」を一つ決めていただくようお願いしました。
今後も、不動産会社が生成AIを安全に活用し、顧客対応や情報発信、人材教育の改善につなげられるよう、現場に即した具体的な活用方法をお伝えしてまいります。

