
2026年8月18日、公益社団法人 静岡県宅地建物取引業協会様主催の研修会にて、「不動産会社のための生成AI入門セミナー~今からでも間に合う、不動産AI活用の第一歩~」をテーマに、弊社取締役の徳留さやかが登壇いたしました。
■主催
公益社団法人 静岡県宅地建物取引業協会
■タイトル
不動産会社のための生成AI入門セミナー
~今からでも間に合う、不動産AI活用の第一歩~
■内容
本セミナーでは、生成AIの基本的な仕組みや注意点を解説するとともに、物件紹介文の作成、画像加工、間取り図の再作成など、不動産会社の実務ですぐに試せる活用方法を実演しました。
今回は特に、不動産広告の制作に生成AIをどのように取り入れるか、便利さと広告上の注意点の両面からお伝えしました。
物件資料からSUUMO入稿文を作成
文章作成の実演では、物件資料をChatGPTへ読み込ませ、ファミリー層に向けた物件紹介文を作成しました。
さらに、「同じ条件でSUUMOへ入稿するためのすべての文章を作成して」と指示することで、キャッチコピー、物件紹介文、営業担当者コメント、周辺環境の説明、おすすめポイントまでまとめて作成できることをご紹介しました。
ただし、一度の指示だけで完成させようとすると、誰にでも当てはまる一般的な文章になりやすくなります。
「30代のファミリー層に向けて」「安心感が伝わるように」「300字程度で」など、対象、目的、条件、出力形式を伝え、AIとやり取りしながら内容を整えることが重要です。
同じ物件情報でも、SUUMO、自社ホームページ、SNSなど、掲載する媒体に合わせて文章を作り変えられる点も、生成AIを活用するメリットとしてお伝えしました。
残置物の削除からホームステージングまで
画像加工の実演では、室内写真から残置物を消し、家具を配置してモダンな和室へホームステージングする流れをご覧いただきました。
残置物の削除を指示する場合は、単に「物を消してください」と伝えるだけでは、AIが建物の一部まで変更したり、実際よりもきれいな室内へ加工したりする可能性があります。
そこで、次のように「してほしくないこと」も併せて伝えます。
「画像から残置物をすべて消してください。建物の構造を変えたり、本来の状態よりきれいにしたりするなど、物を消す以外の加工は一切しないでください」
生成AIへの指示では、してほしいことを並べるだけでなく、変更してはいけない範囲を明確にすることが重要です。
これはAIへのプロンプトだけでなく、社員へ業務を依頼する際の伝え方にも共通する考え方です。
間取り図や配置図の再作成
講演では、既存の間取り図を読み込ませ、色のないシンプルな間取り図へ作り直す方法や、手書きの駐車場配置図を不動産広告用の図面へ整える方法もご紹介しました。
一方で、線や文字が多い複雑な建築図面は、AIがどの情報を残すべきか判断できず、正確に再現できない場合があります。
その場合は、必要な線だけを人が手書きでなぞり、その画像をもとに作図させるなど、AIが判断しやすい状態へ情報を整理してから渡す必要があります。
AIにすべてを任せるのではなく、人が必要な情報を選び、AIが整えるという役割分担が、実務での精度を高めます。
AI加工画像を広告へ掲載する際の注意点
AIで作成したホームステージング画像やリフォーム後のイメージは、お客様が物件の利用方法を想像するうえで役立ちます。
ただし、実際の物件写真と誤認されないように、「AIによる加工画像」「完成イメージ」などの説明を付ける必要があります。
質疑応答では、「AIで生成したことを、画像へどのように表示すればよいか」というご質問もいただきました。
画像の説明欄や備考欄へ表示する方法のほか、画像自体に文字を入れる場合は、Canvaなどの編集ツールを使って注記を加える方法をご紹介しました。
また、生成画像特有の不自然さを抑える方法についてもご質問があり、作成する画像の種類や求める表現によってChatGPTとGeminiを使い分け、生成後に「より自然な表現にして」と追加で指示する方法をお伝えしました。
補助金や契約書へAIを使う場合
地域独自の補助金について、AIでは正確な案内が得られない場合にどうすればよいかというご質問もいただきました。
最新情報をAIに探させるのではなく、自治体が公開している最新の募集要項や手引きを人が取得し、その資料をAIへ読み込ませたうえで、「この資料の中から回答してください」と指示する方法をご紹介しました。
契約書や見積書の確認にAIを使用する場合は、氏名、連絡先、詳細な住所などを削除し、個人を特定できない状態へ匿名化する必要があります。
AIの回答をそのまま採用せず、必ず元の資料と照合し、人が最終判断することも欠かせません。
■おわりに
今回の研修では、不動産広告の文章や画像を実際に作成しながら、生成AIを業務へ取り入れる具体的な方法をお伝えしました。
生成AIは、文章や画像を自動で完成させる魔法の道具ではありません。人が目的や条件を定め、必要な情報を選び、完成した内容を確認することで、初めて実務で活用できるものになります。
今後も、各地域や参加者の皆様から寄せられたご質問を踏まえながら、不動産実務に即した生成AIの活用方法を発信してまいります。


